悩めるママの子育て徒然日記

30代主婦 三児の母 趣味は料理、散歩、読書 旦那さんからは『悩むことが趣味』と言われている

初下校のハプニング

 上の子ちゃんは四月から小学一年生。私の住む地域では、一年生だけの下校の場合、担任の先生が付き添いしてくださる場所まで迎えに行って、子供たちの後ろをついて歩くか、自分の子供がひとりになるところで待っているかのどちらかである。

 何人かのお母さんにお話を伺ったところ、しばらくは先生が付き添いしてくださる場所まで行くということだったので、私もそうすることにした。

 早速、上の子ちゃんの下校時間に合わせて指定された場所へ向かう。途中で、通学班は違うけれど近所に住んでいるお母さんと遭遇する。一緒におしゃべりしながら歩く。指定された場所にはちらほらと子供を待っているお母さんがいて、意外と来ているのだなあと感心する。

 子供達が来るのをしばらく待つ。待っていると、黄色い帽子をかぶった子たちがこちらに向かってやってきた。あまりにもたくさんいるから、上の子ちゃんを探すのが大変だ。先生に背中を押されて、上の子ちゃんがのろのろとやってくる。どうやら、みんなより遅れているようである。上の子ちゃんの傍を歩いている男の子が、見かねて上の子ちゃんの手をつかむ。そして、「僕が連れて行ってあげる」と言うと、そのまま、手を引いてくれた。

 子供たちの列の前後には、地図を持った先生がそれぞれ一人ずつ付いている。そして、指定した場所に辿り着くと、「じゃあ、ここで」と一つ目の指定場所に該当する子たちを親に引き渡した。うちの子ちゃんは、この一つ目の指定場所である。

「残りの子はこっちに来て」

 列の先頭にいる先生が手招きする。子供達が後ろに付いていく。そして、なぜか、上の子ちゃんも付いていく。

「?」

 頭に疑問が浮かぶ。一緒に後ろを歩いている先生に話しかける。

「先生。うちの子、昨日の一斉下校の時は向こうのコースから帰っていたのですけれど」

「えっ?」

 先生が慌てる。

「すいません。私も今年から赴任したばかりなのでまだ分からなくて。すぐ、確認しますね」

 先頭にいる先生に聞いてきてくれる。そして、また、こちらに戻ってきた。

「こっちのコースの方が、家の近い子がいるみたいです。もしかすると、一斉下校の時と一年生だけの下校で変わるんですかね」

 先生もあまり理解していないようである。

 そんなことあり得るだろうか・・・。その時々によってコースが変わったら、子供が混乱してしまう気がするけれど。

 私もまだ、一年生のママになったばかりだから、あまり強くは言えない。

 少し歩いて行くと、二番目の指定場所が見えてきた。おそらく、子供たちの帰りを待っているであろうお母さんたちの集団が目に入る。

「あれ?」

 やっぱり、解せなくて、もう一度、隣にいる先生に聞いてみる。

「うちの子の指定場所、先ほどのところになっていたと思うんです。本当に、こちらで合ってますか」

「・・・。」

 その間にも、先頭の先生は先を歩いて行ってしまう。

 そして、二番目の指定場所に着く。待っていたお母さんたちの元へ子供たちが駆け寄っていく。

「じゃあ、ここまでね」

 先頭の先生が子供達から離れる。上の子ちゃんは男の子に連れられて、家とはあきらかに違う方へ連れて行かれる。

「先生、すみません。うちの子、このコース初めてなのですが、ここからどうやって帰らせればいいですか?」

 先頭を歩いていた先生に声を掛ける。先生の顔がきょとんとする。

「どういうことですか?」

 先生が尋ねてくる。

「いえ、昨日の一斉下校は、向こうのコースで帰っているんです」

 向こう側の道を指さす。

「えっ・・・」

 先生が慌てた様子で地図を確認する。その間にも、上の子ちゃんはどんどん遠くへ行ってしまう。

「待って。ちょっと待って!」

 地図を広げながら、先生が上の子ちゃんのいる集団を呼び止める。

「上の子ちゃんのお名前は何ですか」

「○○〇です」

「!」

 先生が不思議そうな顔をして、戻ってきた上の子ちゃんの顔を見る。

「あなた、なぜ、この班にいるの?」

 いつの間にか、違う班にいたのだ。いや、一応、何度も主張はしていたのだけれど。

 多分、あの状況から察するに、訳も分からず、先ほど手を引いてくれていた子にそのままついて行ってしまったというところだろう。

「じゃあ、これからは、先ほど別れた集団と一緒に帰ればいいですね」

「はい・・・」

 その後、先生は何度も謝ってくれた。

 先生と別れてから、私と上の子ちゃんは下校時のコースから少し外れた近道コースで、先ほど別れた集団を追いかけた。しばらく歩くと、黄色い帽子をかぶった集団が目に入ってきた。

「すみません」

 声を掛ける。

「手違いがあったみたいで、明日からはうちの子も一緒にお願いします」

 お母さん方に改めて挨拶する。というか、そのお母さん方は、先ほど一緒に指定場所まで行って、お喋りしていたお母さん達なのだけれど。

 こうして、上の子ちゃんの初下校は幕を閉じた。

 

 まさか、初下校でこんなトラブルが起こるとは思わなかった。私が付いていたため、こうして笑い話にできるからよかったけれど、指定された場所に行かず、上の子ちゃんが一人になるところで待っていたら、一体、どうなっていたのだろう。

 きっと、先生方も初日だったから、色々と大変だったのだと思う。でも、そういうときにこそ、トラブルは起きやすい。

 大きくなってきたお腹を抱えて学校近くの指定場所まで行くのは大変だけれど、子供たちの身の安全を守るためだ。これから一か月。出来る限り迎えにいこうと思う。