悩めるママの子育て徒然日記

30代主婦 三児の母 趣味は料理、散歩、読書 旦那さんからは『悩むことが趣味』と言われている

本を読む

 私は本を読むことが好きだ。子供の頃から、ずっと本を読んでいる。

 小学生になった頃、まだ漢字が読めなくて、読めない漢字があるたびに、しょっちゅう母に尋ねていた。母がお風呂に入っていても、構わずお風呂場の扉を開けて質問するから、母はよく「お風呂ぐらいはゆっくりさせて」とぼやいたものだ。

 大人になっても、それは変わらず、ひたすら本を読み続けた。暇があれば、近所の本屋さんや図書館に通い詰めた。活字に、というよりも、毎日何か、物語のようなものに触れていないとストレスが溜まってしまうのだ。

 旦那さんと結婚し、実家から離れた。引っ越し先の近くには、図書館がなかった。旦那さんに「図書館に連れて行って」と頼んだら、旦那さんは「わざわざ図書館に行かなくても、読みたい本があるならネットで買えばいいよ」と言った。私は「そうすると、破産するけどいい?」と答えた。旦那さんは最初、冗談だと思って笑っていたけれど、私が図書館で借りた本の量を見て、「こんなにも読むの!」と驚いて、それから、「君は本当に上手に図書館を利用しているね」と感心していた。

 さて、そんな本好きな私だが、私の両親はというと、『部類の本好き』ではなくて、本を読むのが『苦手』な人たちだった。子供の頃、両親が本を読んでいる姿を見た記憶は全くない。この話をすると、皆、驚いて「えっ。じゃあ、どうしたら、そんなに本を読むことが好きな子に育つの?」と聞く。

 理由は一つだ。

 私は本を読む面白さを知っているから。

 私の母は、本を読むことが苦手だった。子供の頃に読んだ本と言えば、教科書に載せられていたものか、読書感想文を書くために出された課題図書くらいだったらしい。

 けれど、本を読むことの大切さは分かっていた。だから、子供には本を読むことが好きな子になって欲しいと思っていた。

 といっても、自分は全く本を読めないから、子供に何を読ませていいかわからない。そこで、専門家の力を借りることにした。図書館へ行き、子供にお勧めの本を司書さんから聞き出し、それらを片っ端から借りてきたのだ。

 さすがは、司書さん。どの本も本当に面白くて、私は夢中になって母が借りてきた本を読み漁った。そして、読む本がなくなる度、「もっと、もっと」と母にせがみ、図書館から借りてきてもらった。

 だから、我が家には本棚はなくとも、常時、図書館で借りてきた本がいっぱいあった。いわば、図書館こそが私の本棚だった。

 こうして、私は母の目論見通り、本好きの子供になった。そして、そのまま成長し、高校生になった。これくらいになると、だいぶ読む本の種類も増え、大人が読む小説なども沢山、読むようになっていた。

 そこで、今度は、私が両親に本を勧めるようになった。だいたい、両親の好みは分かっている。だから、両親の好みに合わせた本を図書館から借りてきたのだ。

 両親は、最初こそ読むことを渋ってはいたものの、段々、本を読むことの楽しさに目覚めていった。

 今では、外出先にも必ずカバンに本を忍ばせる、部類の本好きである。

 

 では、我が子たちは、と言うと、多分、本好きのような気はする。

 旦那さんとは、書籍についてはお金を惜しまないようにしようと決めていた。だから、よく本屋さんへ行き、子供たちに良さそうな本があれば買ってきた。時々、本の読み聞かせもした。けれど、何度も同じ本ばかり読んでとせがまれるから、そのうち、私の方が飽きてきてしまって、そちらは旦那さんにバトンタッチした。

 私はただ、子供たちの傍で本を読んでいた。

 上の子ちゃんが少し大きくなった頃、私が本を読んでいたら、「それ、楽しいの?」と聞いてきた。「楽しいよ」と答えたら、「ふーん」と言って、どこかへ行ってしまった。それから、何度かそういうやり取りがあって、ふと思い立った私は、上の子ちゃんのその当時好きだったキャラクターのついたひらがな表をネットで探し出し、プリントして渡した。

「これ覚えたら、本が読めるようになるよ」

 上の子ちゃんはそれから、ポツポツとだけれど、「この字は何て読むの?」と聞いてくるようになった。教えているうちに段々字が読めるようになってきて、気づけば、一人で本を読むようになった。

 下の子ちゃんはというと、「本を読んで」とせがんではくるが、まだ、一人で本を読むことはできない。ひらがな表などにも、今のところ、興味はない。時々、気が向けば、ひらがなを音声で読み上げてくれる玩具で遊んでいるくらいだ。

 ただ、よく、絵の沢山ついた本を一人で開いていることはある。そして、延々と何かを喋っている。耳をすませて聞いていると、どうやら、本に描かれている絵から連想して、自分で物語を作っているようである。それはそれで、本との面白い関わり方だなと思って放ってある。いつか、下の子ちゃんが一人で本を読んでみたくなったら、その時に手を貸そうと思う。

 コロナが流行してから、図書館にも本屋さんにも行きづらくなってきて、最近、めっきり本を読んでいない。なので、だいぶ、欲求不満気味である。願わくば、時間を忘れて没頭してしまうような、そんな良質な物語に思いっきり触れたい。