悩めるママの子育て徒然日記

30代主婦 今年の夏に三人目を出産予定 現在は妊娠糖尿病にかかり、治療中 趣味は料理、散歩、読書 旦那さんからは『悩むことが趣味』と言われている

名前

 上の子ちゃんを授かったとき、すぐにどんな名前にするのか考え始めた。旦那さんからは、「せめて、性別が決まってからでいいんじゃない」と言われたが、一応、私なりの理由があった。一つ目は、子供が一生使う名前であるから、時間をしっかりかけて、納得のいく名前をつけたかった。もう一つは、妊娠したとしても必ず生むことができるわけではなくて、残念な結果になる可能性も十分にある。万一そうなったとしても、せめて名前だけは付けて送ってあげたかったから、だ。

 というわけで、図書館で早速、名前辞典の本を借りてきて、考え始めたのはいいけれど、これがまた、なかなか決まらない。確かに、良いなと思う名前はちょこちょこあるのだけれど、どれも『これだ!』という決め手に欠ける。

 よくよく考えたら、名前に関して、自分の中に全く判断基準がないことに気付いた。そこで、どんな名前にしたいのか、整理した。

  • 意味を持った名前であること
  • 画数が良いこと
  • 読める名前であること
  • 少しだけ珍しい名前であること
  • 書いた時に苗字とのバランスが良いこと
  • 名前を見た時に性別がわかること     etc

 

 あげ出したらきりがなく、全てを満たせる名前なんて見つかるのかと、絶望的な気分になった。

 結局、性別が分かっても肝心の名前は決められず、私は悶々とした日々を過ごした。

 光が見えたのは、あるお寺に安産祈願へ行った時だった。そのお寺では説法を受けることができた。せっかくの機会なので夫婦で話を聞いてきた。その時、聞いた話の中に出てきた言葉が私の胸に響いた。

 この言葉を名前に込められたらいいな。

 そう思って考えていったら、一つの名前にたどり着いた。それは、偶然にも上に挙げた条件全てを満たしていた。なにより、私の中でとてもしっくりきたのだった。

 こうして、名前が決まった。その日から、私はその名前を少し縮めた愛称で、上の子ちゃんに話しかけるようになった。

 上の子ちゃんはお腹の中で順調に育ち、そして、無事、生まれてきてくれた。親族に名前の公表をし、産院の上の子ちゃんを寝かせているベッドについているカードに名前を書こうとした。

 そこで、旦那さんから「待った」が入る。親族から、名前の響きが中性的なため、性別を間違われるのでは、言われたらしい。

 今時、中性的な名前はいっぱいあるし、表記すれば性別は分かるから問題ないと思ったけれど、旦那さんはなかなか納得してくれない。カードに名前を書きたかった私は仕方なく、(仮)と書いたうえで名前を記入した。そして、了承してくれない旦那さんに、納得いかないなら、ずっと呼びかけていた愛称で呼べる名前をあなたが考えてと頼んだ。

 産院を退院した。上の子ちゃんの名前は決まっていなかった。届け出の日にちが刻一刻と迫っていく。業を煮やした私は上の子ちゃんを抱きながら、「君は『ななし』さんになっちゃうね」と旦那さんの前で皮肉を言った。

 旦那さんが名前を考えてきた。すごく悩んだのだと思う。けれど、私にとってはどれも、いいとは言い難い名前ばかりだった。私の方からも二つ出した。一つ目は当初の名前、もう一つは新たに考えた名前。後は、旦那さんの判断に任せた。そして、旦那さんは一晩考えた後、当初の名前を選んだ。

 下の子ちゃんの時はさらに難航した。上の子ちゃんの時にさんざん悩んで、これ以上はないと思って付けたから、それと同じくらいの名前を見つけることがなかなかできなかった。さらに、せっかくの兄弟だからつながりのある名前にしたい、などという条件を追加したから、それはそれは難航した。

 とりあえず、良い画数は分かっているので、画数からいいなと思う漢字を選び出し、片っ端から組み合わせていく。そして、まあ、いいかなという名前にようやく出会う。 

 けれど、やっぱりしっくりこなくて、ひたすら考え続ける。

 ようやく見つかったのは、ぼんやりとお風呂に使っていた時。これはいいと思い、急いでお風呂を出た。旦那さんと上の子ちゃんに、早速、どちらがいいと聞いてみる。旦那さんは、寄りにもよって、私が良いと思っているのとは違う名前。しまった、二択なんてしなければよかったと後悔する。旦那さんと膠着状態に陥る。そこで、上の子ちゃんの意見を聞く。賢い上の子ちゃんはきちんと忖度し、私の推す名前を選んだ。

 ちなみに、下の子ちゃんの名前は誕生石の意味にちなんだ名前。私が好きな言葉だ。

 子供ちゃん達が少し大きくなった頃、どうして自分がこの名前なのかと聞いてきた。私は子供ちゃん達それぞれの名前の持つ意味を教えた。子供ちゃん達はとても気に入ってくれて、それから、なにかにつけて「自分の名前はこういう意味だ」ということをお互いに話し合っている。

 そして、三人目。毎回、こんな風だから、正直、考えるのに疲れてきてしまっていた。そこで、旦那さんに振ってみたけれど、自分にはセンスがないからと逃げられた。

 さて、どうしよう。

 一応、一つ、前に良いなと思った名前はあった。けれど、いざ、子供ができてみて、その名前をつけようと思ったら、どうもしっくりこない。

 好きな言葉、好きな漢字、改めて洗い出してみるけれど、そんなぽんぽん出てくるわけもなく、もう子供ちゃん達二人で出し切ったよと思ってしまう。

 そして、悩んでいる間にも、お腹の子は大きくなっていく。

 そんな中、夢を見た。名前の夢だ。ひらがなで書いてある。すでに一文字目の漢字は決まっていて、他ははまだ決まっていなかった。画数は指定。つまり、この読みに当てはまる画数の漢字を探せというわけだ。

 けれど、私の頭の中でその条件に合う漢字を見つけるのは難しくて、結局、うんうんと唸りながら起きた。脳みそがどっと疲れていて、私はふらふらとした足取りで、パソコンに向かい、条件に合う漢字を検索した。そしたら、ひとつだけあった。夢の中の漢字と組み合わせたら、上の子ちゃん達と同様にしっくりきた。

 旦那さんにこの夢の話をした。旦那さんは「きっと、お腹の中の子供がそう言っているならいいんじゃない」と言った。子供ちゃん達も賛成してくれた。私もこれで一安心。と思いきや、上の子ちゃんが聞いてきた。

「この子の名前の意味は何?」

 確かになんだろう、と思う。そもそも、夢の中では名前の読みしか書いてなかったし、条件に合う漢字を考えるのに気を取られて、聞いてくるのを忘れてた。

「そうね。意味、考えないとね」

 そう答えたら、上の子ちゃんが気の毒そうな顔をして「先に意味を考えてあげてからつけた方がいいんじゃない」と言った。

 至極当然なご指摘に、返す言葉がない。

 その後、漢字の意味を詳しく調べ直して、意味をつけた。まあ、後付けにはなるけれど、でも、この子らしい名前になるんじゃないかと、なんだかそんな気がしている。

 こうして、三人目の子の名前が決まった。決まったのだけれど、ずっと名前を呼びそびれている。上の子ちゃん達の時はよく名前を呼んであげていた。けれど、今はその余裕がない。お腹を蹴られた時に、ぽんぽんと軽く叩いてあげるくらい。

 ごめんね、と思う。なかなか手を掛けてあげられない。子供がひとりひとり増えていくと、それだけ分散してしまう。

 だけれど、その分、上の子ちゃん達が愛してくれるんじゃないかなと思っている。

 時折り、私の膨らんだお腹に小さな手を当てて、お腹に向かって話しかけてくれている。

 その顔は嬉しそうで、見ているこちらも幸せな気分になる。

 

 さてはて。

 一応、夢の中でご指定を受けた名前。

 ご指定通りに漢字も探してお付けする予定ですが、果たしてお気に召していただけるかどうか。

 それは、少し大きくなってからのお楽しみになりそうです。