悩めるママの子育て徒然日記

30代主婦 三児の母 趣味は料理、散歩、読書 旦那さんからは『悩むことが趣味』と言われている

成長速度

 下の子ちゃんは幼稚園に入る前、一時期、トイレに行っていた。

 けれど、冬に入ってから、『寒いのが嫌だ』という理由でトイレへ行かなくなった。

 なので、上の子ちゃんからはよく、「幼稚園さんになってもトイレに行けないと、先生に怒られるよ」と言われていた。

 ただ、実際のところ、上の子ちゃんは幼稚園に入ってもしばらくの間、トイレに行けなかった。

 だから、上の子ちゃんがそういう度、「上の子ちゃんも、トイレに行けたのは年中さんからだよ」と、付け加えていた。

 

 幼稚園に入ってから、下の子ちゃんはトイレに行くようになった。

 なので、昼間はパンツを履き、寝ている間だけ、夜用のオムツにしている。

 ただ、ここ最近、朝起きた時に夜用のオムツが濡れなくなった。

 しかも、朝起きると、すぐ、トイレに行く。

 良い傾向だ。

 気づけば、ここ数日間、この状態が続いているので、「すごいね!」と下の子ちゃんを褒めた。

 すかさず、上の子ちゃんが「何が?」と尋ねてくる。

「実はね・・・」

 下の子ちゃんのことを話すと、上の子ちゃんは下の子ちゃんの成長ぶりに驚いたようだった。

「下の子ちゃん、すごいねえ!」

 まさに、心の底から下の子ちゃんを称賛する。

 というのは、上の子ちゃんはまだ、夜用のオムツが外れていない。

 時々だけれど、夜間にしてしまうことがある。

 いつも、上の子ちゃんの背中を追いかけている下の子ちゃん。

 上の子ちゃんに褒められて、とっても嬉しかったようだ。

「もう、ずっと、(おむつにしないで)朝にトイレへ行っているもんね」と、得意げな顔で言う。

 いやいや、まだここ最近のことだよ。

 心の中で密かに突っ込む。

 すると、下の子ちゃん。

 何やら思いついたようだ。

「ねえ、上の子ちゃん」と話しかける。

「朝にトイレに行けないと、先生に怒られるんだよ」

「えっ」

 上の子ちゃんは一瞬、戸惑う。

 そして、「だ、大丈夫だもん」と、しどろもどろに返す。

 けれど、今までオムツのことを言われ続けてきた下の子ちゃん。

 実は、ずっと根に持っていたようだ。

「朝にトイレに行けないと、先生に怒られるんだよ」

 同じ言葉を、もう一度繰り返す。

 追い詰められた上の子ちゃんは、プツンと切れて「もう、下の子ちゃんとは遊んであげないから」と大きな声で叫んだ。

 ここで、旦那さんが仲裁に入る。

 皆、朝は一番忙しい。

 悠長に、喧嘩している時間なんてない。

 それが、つい先日のこと。

 

 夜中、下の子ちゃんの泣き声で目を覚ます。

 最初は暑いのかと思い、身体に掛かっている上布団を取った。

 けれど、泣き止まない。

 夢の中でうなされているのだろうか。

 下の子ちゃんは私や旦那さんに叱られると、夜中に泣いてしまうことがある。

 ただ、振り返ってみても心当たりはない。

 背中をとんとんと軽く叩いてみたり、手を握ったりする。

 どうやら、違うようだ。

「お茶飲む?」と聞いてみるが、これにも反応なし。

 どうしたのだろう。

 もう、選択肢がない。

 しばらくすると、一旦泣き止んだ。

 けれど、また、泣き出す。

 どうしたものかな。

 為す術なく見守っていたら、突然、下の子ちゃんがすくっと立ち上がった。

「ママ、トイレ」

「えっ」

 初めての出来事に、思わず、声が出る。

「わ、わかった。一緒に行こうか」

  ただ、トイレまで付き添うだけなのに、なぜか動揺している。

 下の子ちゃんはトイレで用をすますと、布団に戻り、すぐ眠ってしまった。

 私はしばらく呆気にとられ、それから、キッチンへ水を飲みに行く。

 キッチンには、ちょうど、お風呂上がりの旦那さんがいて、私は旦那さんに今あったことを話した。

「下の子ちゃんが、今、起きて、トイレに行ったのよ」

 旦那さんが「そっか」と相づちを打つ。

「今まで、上の子ちゃんが夜中、トイレに行きたくて起きるってことがなかったから、驚いちゃった」

 そうなのだ。

 上の子ちゃんも下の子ちゃんも、時々、夜中にオムツが濡れると替えて欲しくて泣くことはあった。

 けれど、トイレに行きたくて子供ちゃんが泣くのは初めてのことだった。

「なんか、すごいな・・・」

 眠りが浅いとか深いとか。

 その子の体質みたいなものもあると思うけれど。

 下の子ちゃんがトイレに行くようになったのは、つい最近のことで、夜中にしなくなってきただけでもすごいと思っていたのに。

 もう、そんなこともできてしまうのと、驚きを隠せない。

 

 生まれ月や第一子・第二子という違いもあると思うけれど。

 ただ、上の子ちゃんはどちらかと言うと、成長がゆっくりな気がする。

 もちろん、その子その子のペースはあるし、周りの成長に合わせなければならないというわけではない。

 だた、幼稚園に入り、同じ年齢の子たちが集まると、やはり、見えてきてしまうものはある。

 食事のこと、トイレのこと、体調のこと・・・etc。

 その度に、どうしようか悩んで、試行錯誤して、うまくいかなくて。

 そんな日々を幾度も繰り返していたら、ある日、今までの苦悩は何だったんだと拍子抜けしてしまうほどに、急にできるようになるのだ。

 だから、上の子ちゃんの成長ぶりは、どちらかと言うと、『ようやくできるようになったなあ』みたいな、感慨深いものが常にあるのだけれど、下の子ちゃんの成長ぶりは、あまり手が掛からずに、しかもこちらが思っているよりも早く出来てしまうので、ただ『すごい』と驚いてしまう。

 旦那さんにそう感想を漏らすと、旦那さんが「まあ、下の子ちゃんは人生何周目かの子だから」と言った。

「そうだね」と私も返す。

 うちの夫婦間では、もはや、これが確定事項みたいになっている。

 

 今回のことは生理現象だし、『上の子ちゃんもすぐできるようにならなければ』とは思っていない。

 ただ、日々の中で何となく分かってはいたけれど、子供の成長速度はやっぱり違うのだなあ、と改めて思い知らされた出来事だった。