悩めるママの子育て徒然日記

30代主婦 三児の母 趣味は料理、散歩、読書 旦那さんからは『悩むことが趣味』と言われている

夫婦の時間

 先日、結婚記念日を迎えた。

 ちょうど、その日、旦那さんは仕事をお休みしていた。

「今日、何の日かわかる?」と聞いたら、「結婚記念日でしょ」と返された。

 そして、少し意外そうに「君も覚えてたんだね」と付け加えた。

 そうなのだ。

 私はよく、結婚記念日を忘れる。

  結婚する前は、もし、結婚したら、毎年、結婚記念日は夫婦で祝えるといいな、なんて思っていた。

 けれど、結婚して、すぐに上の子ちゃんを授かって、そのまま育児に邁進していたら、いつの間にやら頭の中から消えていた。

 子供ちゃん達の誕生日は覚えていても、自分の誕生日は忘れている。

 ましてや、結婚記念日なんて・・・。

 旦那さんの方が、そういうことはよく覚えていてくれた。

 だから、結婚して数年くらいは、記念日になると美味しいジュース(私はお酒が飲めないので)とか、なにやら買ってきてくれた。

 けれど、私の反応が毎回、あまりにも薄いため(というよりは、育児に追われ余裕がなかったため)そのうちやめてしまった。

 そして、今年も。

「もし、妊娠してなかったら、お祝いに、二人でランチとか行ってたのかな」

 今年から、上の子ちゃんは小学校に、下の子ちゃんは幼稚園へ行っている。

 だから、昼間の早い時間なら子供ちゃん達はいない。

 ぼそりと漏らす私に、旦那さんが返す。

「コロナ禍じゃなかったらね」

 笑いながら、そうだね、と答える。

 結局、今年も難しかったのだ。

 夏からはまた子育てに追われるだろうし、そう考えると、二人でゆっくり祝えるのは、また数年先のことかと思う。

 

 旦那さんとは、付き合って一年くらいで結婚した。

 それまで、一応、旦那さんのことは知っていたけれど、じっくりと話す機会はなかった。

 一度話してみたら気が合って、お互い、結婚願望もあったから、結婚を前提にお付き合いした。

 そして、一気にゴールイン。

 新居を整えている間に身ごもって、悪阻等々を乗り越え、出産。

 旦那さんとは、今まで、ほとんどの時間を『夫婦』としてよりも「パパ・ママ」として過ごしている。

 それに対して、全く不満はない。

 早く子供は欲しかったから。

 でも、やっぱり、夫婦であることも忘れたくなくて、旦那さんを呼ぶときは、今でも名前で呼んでいる。

 

 最近、子供ちゃん達がそれぞれ、学校や幼稚園に通うようになって、疲れているのか、以前よりも少しだけ早く寝るようになった。

 といっても、私も早めに寝ないと身体がもたないので、ほとんど一緒に寝てしまうのが常だけれど。

 ただ、時々うまくいくと、少しだけ、旦那さんと二人だけの時間ができるときがある。

 結婚してから、何年ぶりかの夫婦の時間だ。

 

 旦那さんは、もともと、自分の仕事については、あまり自分から話す人ではなかった。

 聞けば答えてくれるけれど、ざっくりと、だ。

 決して、人に言えない仕事をしているから、と言うわけではない。

 ただ、仕事をしていると、公にはできないことに触れることもある。

 普段からぺらぺらと話していると、ふとした弾みに、口が滑ってそういうことを話してしまうかもしれない。

 そういうことを防ぐために、旦那さんはあまり話さないようにしているらしい。

 旦那さんは、真面目な人なのだ。

 旦那さんは、仕事の空気を家に持ち帰ることもしない。

 いつも家に帰ってくるときは、「ただいま」と言って帰って来る。

 そして、子供ちゃん達のお世話をしたり、夕飯を食べたりする。

 機嫌がいいことはあっても、機嫌悪く帰ってくることはまずない。

 でも、時々、ちょっと、口数が少ないな、とか、いつもより会話に余裕が感じられないな、というような違和感がある時がある。

 そういう時、私は「今日、仕事で何かあった?」と尋ねる。

 すると、旦那さんは「よく分かったね」と驚いた顔をする。

 そりゃ、そうだ。

 もう、何年もあなたと夫婦をしてますもの。

 

 二人きりの時間が作れるようになってから、旦那さんは時々、仕事の愚痴をこぼすようになった。

 それは、多分、旦那さんも年齢を重ねて、職場での立場が変わってきたり、コロナで人に会う機会が減ったり、子育てが少し落ち着いて、私に余裕ができたり、というような色々な要因があってのことだとは思う。

 ただ、要因はどうあれ、私は嬉しいのだ。

 もちろん、仕事の愚痴と言っても、「ちょっとトラブルが発生した」とか「もうすぐ締め切りのものが何件もある」とか。

 内容には一切触れず、本当に、ざっくりとしたものだ。

 でも、旦那さんも今、仕事で大変なんだな、頑張っているんだな、て、わかるから。

 旦那さんはそういうことでさえ、今まで言わなかった。

 家に帰ってくると、子供ちゃん達の世話をしながら、子育てでストレスのたまった私の愚痴をずっと聞いてくれていた。

 だから、というわけではないけれど、私自身、どこか、旦那さんの仕事を軽視していたところがあったと思う。

 旦那さんの帰りが遅くなると、『どこか遊びにいってるんじゃないかしら』とか思ってしまうこともあったし、仕事をするのは大変なことだと頭では分かっていてもつい、『小さい子供ちゃん達の面倒を見ている私の方が大変』という態度をとってしまうこともあった。
(ただ、弁解すれば、子供ちゃん達が小さい頃は、本当に自分に余裕がなかった。)

 今、少し時間が出来て、旦那さんの軽い愚痴?めいたものを聞くようになったおかげで、ふとした時に、旦那さんも今、仕事頑張っているんだな、とか、最近、大変って言っていたから、今日は帰りが遅くなるかなとか。

 そういう風に、考えられるようになった。

 

 夜、子供ちゃん達二人が早く寝付いてくれると、私はそろりそろりと、旦那さんの元へ行く。

 そして、二人で愚痴を言い合う。

 旦那さんは仕事の愚痴、私は、子育ての愚痴。

 まあ、私が喋っているのがほとんどだけれど。

 でも、一方的に話していたあの頃より、旦那さんと向き合えている気がする。

 

  子供が生まれたら、また、しばらく、こういう時間は取れなくなってしまうだろう。

 だから、残されたあと少しの時間を、大切にしたいな、と思っている。