匂い
我が家で愛用している日焼け止めが、販売中止になってしまった。
我が家の子供ちゃん達は肌が弱い。
子供ちゃん達が使えるものをと色々探し回ってようやく見つけたものだったから、残念である。
また、一から新しいものを探さなければならないのは、頭が痛い。
けれど、これから、ますます日差しが強くなっていく中、日焼け止めは必須だ。
お陰で、しばらくの間、私の貴重なひとり時間は日焼け止め探しに充てられることになった。
もともと使っていたものは、成分も強さもちょうど良かった。
できれば同じようなものをと、ネットで検索してみる。
日焼け止め自体は、沢山出てくる。
けれど、望みのものは、なかなか見つからない。
幾つか調べて、ようやく一つ、「どうかな?」というものを見つける。
旦那さんにお願いし、早速、注文してもらった。
日焼け止めが、我が家に届く。
まずは、自分に使ってみる。
塗り心地は悪くないし、肌あれもしない。
これなら、子供ちゃん達にも使えるかな?
休日に、子供ちゃん達に塗ってみる。
肌荒れはしなかった。
けれど、子供ちゃん達には残念ながら、不評だった。
原因は『匂い』だ。
言われてみれば、確かに、イチゴのような甘い香りとなんとも言い難い薬品?のような匂いがする。
でも、本当に『微かに』だ。
子供ちゃん達は、断固として譲らない。
「臭いから嫌だ」と言う。
じゃあ、前の物はどうだったかというと、むしろ、しっかりとハーブの香りがついていた。
そちらは許容範囲だったらしい。
『いや、ママだって、前のものが買えるなら、そうしたいよ・・・』
よく調べてみたら、以前使っていたものには、姉妹ブランドがあるらしい。
早速、検索してみる。
以前使っていたものも、なかなかいいお値段だったけれど、そちらの商品はさらにその上を行く。
『なんとか、今ので慣れてもらえないかしら・・・』
そんなことを思ってしまう。
我が家の子供ちゃん達は、匂いに対して敏感である。
一番驚いたのは、『生クリーム』だ。
私は子供の頃から卵アレルギーのため、市販のケーキを食べたことがほとんどない。
卵が入っているものが、ほとんどだからだ。
なので、ケーキは毎回、母が焼いてくれた。
私にとって、『ケーキを食べる』というのもいい思い出だけれど、『母と一緒にケーキを作る』というのもまた、子供の頃のいい思い出になっている。
だから、子供ちゃん達ともケーキを一緒に作りたいな、と思っていた。
子供ちゃん達が二人とも少し大きくなって、私自身も子育てに少し心の余裕が出来てきた頃、子供ちゃん達と一緒にケーキを作った。
卵が使えないため、スポンジは少し硬めだ。
『市販のケーキをちょこちょこ食べている子供ちゃん達の口に合えばいいけれど・・・』
と、スポンジに関しては少し自信がなかったのだが。
出来上がったケーキを食べた子供ちゃん達。
懸念していた通り、口々に「美味しくない」と言う。
『やっばり、スポンジが・・・』と、気落ちする私。
けれど、どうやら違うらしい。
「この白いの取って」とケーキの上の方を指さす。
どうやら、原因は生クリーム。
子供ちゃん達曰く、「生クリームがお店のものと違う」らしい。
私はあまり甘いのは好きでないので、砂糖の量は控えめにしていた。
『ああ、甘さが足りないのか』と、急いで、砂糖を加えてみる。
けれど、これもだめだと言う。
「何がだめ?」と尋ねると、「匂いが違う」と答える。
匂い?!
一瞬、意味が分からず首をひねる。
ただ、よくよく子供ちゃん達の言葉の意味を考えてみると、確かに、市販のケーキって、いい匂いがする気がする。
私は市販のケーキを食べたことがあまりないから、すぐにはピンとこなかったけれど・・・。
でも、匂いがなくても、味は変わらなくないか?
結局、子供ちゃん達はご丁寧に、塗った生クリームを全部はぎ取って、スポンジと果物を美味しそうに食べたのだった。
それ以来、なかなか、手作りケーキを作れないでいる。
一度、ホワイトチョコを生クリームに混ぜてみたら、「少し、お店の味に近づいた」とお褒めの言葉を頂いた。
けれど、残念ながら、しっかり食べてもらえるまでには至っていない。
でも、まさか、本格的な生クリームを求められることになるとは!
旦那さんに愚痴ったら、「素材の味がちゃんとわかる子供に育てたかったんでしょ」と言われてしまった。
確かに、そうなのだけれど・・・。
今は妊娠糖尿病になっているので生クリームの改良は中止している。
でも、子供ちゃん達とケーキ作りがしたいから、また、体調が落ち着いたら、再開する予定だ。
果たして、子供ちゃん達の舌に適う生クリームは作れるのか・・・?
手作りケーキへの道は遠い。