悩めるママの子育て徒然日記

30代主婦 今年の夏に三人目を出産予定 現在は妊娠糖尿病にかかり、治療中 趣味は料理、散歩、読書 旦那さんからは『悩むことが趣味』と言われている

雨の日

 雨の日は、昔から苦手だ。

 どんより曇っている空を見ていると、心が沈んでくる。

 主婦になってからは、ますます、そう思う。

 部屋が干した洗濯物でいっぱいになる。

 洗濯物が乾かない。

 部屋の中が湿気でじめっとする。

 だから、梅雨の季節は毎年、憂鬱だった。

 ところが、今年はあっという間に梅雨が明けてしまった。

 なんだか、拍子抜けである。

 そして、ずっと、暑い日が続く。

 ふと、カタツムリはどうしているのだろうか。

 などと、考えてしまう。

  先月の雨の日に、旦那さんの実家の庭先で見つけたカタツムリ。

  二匹寄り添って、庭先の石畳を這っていた。

 もちろん、その場には子供ちゃん達もいた。

 そして、ご想像のごとく、子供ちゃん達は「飼いたい!」と言い出した。

「いや、せっかく二匹でお散歩しているし、そっとしておいてあげよう」

 そういう私の意見は全くもって聞いてもらえず、二匹のカタツムリは虫かごの中に入れられたのである。

 それからは、やれ、「えさは何をあげればいいの」だの、「どちらがオスでどちらがメスなの」だのと騒ぎ出す。

「ご飯は、お野菜の切れ端をあげて。あと、卵の殻をあげるとカタツムリのカラが丈夫になるよ。それから、カタツムリはオスもメスもないよ」

 子供ちゃん達がスマホで色々と検索しようとしている横で、私はすらすらと答えていく。

 なぜ、そんなこと知っているのかだって?

 私は子供の頃、カタツムリを飼っていたことがあるからだ。

 決して、カタツムリが好きだったわけではない。

  イヌとかネコとか。

 本当は動物のペットが欲しかったのだ。

 けれど、残念なことに買ってもらえなかった私は、公園でよく捕れるカタツムリを飼うことにした。

 しかも、三匹!

 今思えば、ありえないことだ・・・。

 まあ、そのおかげで、カタツムリの生態というものがよくわかったし、卵から孵った小さな小さなカタツムリを見ることもできた。

 だから、決して、飼うということが悪いわけではない。

 ただ、子供ちゃん達の年齢で生き物を飼う場合、主に世話をするのは親である。

 そして、今の私が世話をするというのは、生理的に無理な話で。

 早いところ、逃がしてあげるよう子供ちゃん達を説得せねば、などと思ったのだった。

 

 まあ、そんなわけで、久しぶりにカタツムリと関わり、なおかつ、梅雨をすっ飛ばし、真夏に突入してしまった今回のことを合わせて、ふと、カタツムリに思いを馳せてしまった私。

「カタツムリは大丈夫だろうか」と呟くと、旦那さんが「荒野に殻だけがポツンと転がっている」と言う。

 もちろん、冗談だけれど、今年のこの恐ろしい暑さでは、それもありうるかもなんて思ってしまう。

 

 そして、この暑さは、上の子ちゃんの学校生活にも影響を及ぼし始めている。

 最近、上の子ちゃんがイライラしている。

 下の子ちゃんと喧嘩をするのは、よくあることなのだけれど、いつもよりも一回一回の喧嘩に過剰反応しているように思えるのだ。

 何か具体的な原因があるわけではない。

 ただ、上の子ちゃんと話をしていて思ったことがある。

 小学校で思いきり身体を動かす機会が、失われている気がする。

 上の子ちゃんの学校では、今、プール以外に体育の授業がない。

 熱中症対策で、体育館や外で授業を行うことができないのだ。

 そして、休み時間に外で遊ぶ場合は、マスクを外さなければならないらしい。

 その点、上の子ちゃんは、コロナが怖いし、私が妊娠中ということもあって、マスクを外したくないので外で遊んでいないというのだ。

 この暑さでは学校の行き帰りだけでも、体力をそこそこ消耗するにしても、身体を思うように動かせないのはストレスが溜まるのではないかな、と思ってしまう。

 

 そして、私自身も、この暑さでだいぶ参っている。

 私は、毎朝、朝食を食べた後は血糖値を下げるため、散歩することを日課にしている。

 少し前までは、気候も良く、自分のペースで身体を動かすことができるため、散歩することを楽しみにしていた。

 けれど、今では、家の外へ出ようとすると、面白いくらいにため息が出る。

 ああ、行かねば・・・。

 重い腹?を上げ、外に出る。

 外に出た途端、容赦なく燦燦と輝く太陽の下にさらされる。

 ゆらゆらと横に上半身を揺らしながら、いつもの散歩道を歩く。

 前方を見れば、延々と続くアスファルトの小道。

 歩きながら、『今日も無事、歩き終えることができるかしら』なんて考えてしまう。

 

 だから、つい先日、小雨が降ったとき、私は久しぶりに心躍らせながら散歩道を歩いた。

 最初は傘を差していたけれど、細かな雨粒がひんやりと気持ちよくて、途中からは傘を閉じて歩いていた。

 雨の日が嬉しいなんて思ったのは、いつ振りだろうか。

 昔の記憶を辿ってみるもものの、全く思い出せない。

 きっと、それくらい、私には久しいことなのだ。

 ふと、雨の日の下の子ちゃんの姿を思い出す。

 下の子ちゃんは雨の日も嬉々としている。

 開いた傘をくるくると回し、深い水溜まりの中に履いている長靴をゆっくりと沈め、思う存分、雨の日を満喫する。

 一方、こちらは、傘を差している分、視野が狭く動きにくいうえに、やれ濡れないかだの、自転車が来ないかなど。

 いつも以上に、目を光らせる羽目に陥るのだけれど。

 今日は、気楽なおひとりさまだ。

『きっと、カタツムリも喜んでいるだろな』

 なんて、二匹のカタツムリのことを思い出しながら、ゆっくりと雨の日を堪能したのだった。

 

 そして、その日は、上の子ちゃんにとっても楽しい日であったらしい。

 なんと、体育館で久しぶりに体育の授業があったというのだ。

 上の子ちゃんは学校から帰ってきて早々に、私に報告してくれた。

 自分から学校のことをなかなか進んで話してくれない上の子ちゃんのことだから、よっぽど嬉しかったのだろう。

 心なしか表情も、いつもよりすっきりしたものになっていた。

 

 状況が変わると、今まで嫌いだったことが好きになることもあるようだ。

 でも、やっぱり、人間、調子のいいもので、大歓迎していたはずの雨の日も数日続けば、今まで通り憂鬱な日に戻っている。

 原因は、乾かない洗濯物の山、山、山。

 視界に入る度に気が滅入る。

 いい塩梅って難しいなあ・・・。

 そんなことを思いながら、今日もちらつく雨の中を散歩しに行くのだった。